経済部工業局陳佩利副局長

(情報は2021年6月17日取材当時のもの)

Q1:新型コロナウィルス感染状況が台湾ハイテク産業にどのような影響を及ぼしているかと各国が注目しています。

質問に答える前に、まず日本から台湾へ新型コロナウィルスワクチン支援に感謝いたします。この感謝は台湾の総意です。既に接種も始まっています。本当にありがとうございました。

新竹サイエンスパークでの感染が発覚してからすぐに、工業局電子情報チーム(ICT産業統括)が新竹に直行、中央感染症指揮センターが設置した前線指揮所で企業の時間差勤務など事業継続計画(BCP)の取り組みをサポートしました。また、迅速に企業の大規模な簡易検査を実施できるように協力し、見えない感染経路を洗い出し、即時にブロックをしたため、感染拡大のリスクを軽減することができました。  

半導体などの大型工場では若干の感染は確認されたものの、生産ラインがストップすることはなかったです。台湾のハイテク産業は国際的なつながりも強く、世界各国が相次いでロックダウンする中で、台湾の主要な工場では継続的な操業を続けられるノウハウを積み上げていたためです。

製造業は国内経済の成長と雇用確保に大きく貢献しており、台湾の半導体や情報通信製品はグローバルサプライチェーンの中で重要な役割を担っています。政府は「特殊感染症(COVID-19)の発生に伴う企業の継続的な操業のガイドライン」に基づき、生産と防疫の両面に配慮した国内製造業の予防措置を引き続き支援しています。

新型コロナ流行が製造業に与える衝撃を抑えるため、経済部は企業の分散勤務に対してサポートを始めました。苗栗の電子工場でクラスターが発生した際、経済部工業局は労働部と協力して、前方指揮所の王必勝医師の指揮のもと、最前線に赴き感染拡大の抑制をしました。また、経済部はITRIと協力して開発した陽圧検疫ボックスの製造速度も加速させ、各地に設置することで、検疫時間を短縮するだけでなく、第一線で働く医療スタッフが勤務中に安心して過ごせるようにサポートしています。

各部門普段はがそれぞれの役割を担っていますが、今回のコロナ禍で、互いに協力しあって、団結して感染症から台湾のテクノロジー産業を守っています。

また、市中感染はまだ完全におさまっていませんが、国内経済は活発であることから、従業員の健康を守りつつ、企業活動を維持するため、中央感染症指揮センターは5月30日に、企業向け抗原検査の実施原則を発表、企業がリスク管理に従って独自で健康管理システムを構築し、定期的或いは高リスクの人員に対してモニタリング検査を行います。

また、経済部は企業に対して、手指消毒や、マスク着用などの措置を引き続き維持し、不要不急な活動やイベントを減らすこと、混雑した場所や、感染の危険性の高い場所は避けるよう呼びかけるとともに、従業員の感染リスクを低減、企業の正常な運営を維持するための様々な予防策にも積極的に協力しています。COVID-19の症状がある従業員は、地域の検査センターや病院の特設検査場で診察を受ける必要があります。

5月からの国内での感染拡大は国民の消費意欲に影響を与え、小売、外食産業などやエレクトロニクス工場の生産ラインへの影響の恐れがあります。経済部は引き続き、現状とニーズを把握するため、企業との交流を継続していきます。また、製造業を管轄する工業局の職員も竹苗地区に駐在し防疫を全力で対応しています。企業の防疫を支援する以外に、新型コロナによる衝撃を軽減させるため、オンラインサービスなどのDX を強化しサポートしていきます。

Q2:経済部と工業局は新型コロナの流行期間中も防疫に関わる産業を強力に支援しています。

台湾のハイスループットPCR検査装置は数百台の発注を受け、東京オリンピックにも使用される、と聞いています。

一方では引き続きスマートマニュファクチャリング、5G、スマートディスプレイ、DXなどの重要な産業の発展を支援されています。

5Gは典型的なシステム統合の業種で、バックエンドをサポートするためには、ITやCT、OTなど多くの技術との組み合わせが必要です。台湾と日本は双方とも5GネットワークのオープンRANの導入を推進しているため、優れた技術を持つ日本のサプライチェーンと良好な協力関係を築くことができる台湾メーカーが数多くいます。

(一)スマートマニュファクチャリング(スマート製造)

今回の新型コロナウイルス感染の流行は、私たちにスマートマニュファクチャリングの必要性を知らしめました。蔡英文総統は既に4年前の就任第一期目にスマートマニュファクチャリング産業の推進に焦点を当てた「5+2産業イノベーション計画」を提唱し、経済部工業局が政府と民間企業の力を集結させ台湾のスマートマニュファクチャリングの発展に尽力しました。2020年、蔡総統の第二期就任演説では、5+2産業革新で固めてきた基盤から、「六大核心戦略産業」が発展すれば、台湾が将来の世界経済の鍵を握ることができるだろうと述べています。

台湾は強固なIT産業の他に、世界の半導体産業の中心でもあります。ICハードウェアの設計能力に加え、テクノロジーと経験を集結させたエレクトロニクス受託製造業、高度で専門的な製造業など、完成されたIoTサプライチェーンを備えており、IoTイノベーションを培うのに最適な場所なのです。

台湾の優れたソリューションをグローバル展開するため、TJPOは工業局の支援により設立されたIoT Service Hub(物聯網智造基地)、IisC(物聯網晶片化整合服務中心)と連携し、設計、製造、グローバルマーケティングまで、スマートマニュファクチャリングのワンストップサービスのモデルを形成しています。

IoT Service HubとIisCを組み合わせて、フロントショップとバックファクトリーのワンストップモデルを形成し(訳注:パン屋と製パン工房のような関係)、IoT Service Hubはフロントショップとして台湾スマートマニュファクチャリング企業のニーズを網羅しています。IisCはバックファクトリーとしてメーカーが技術開発などに必要なリソースを提供します。

TJPOはこの強固なスマートマニュファクチャリングチームと、さらにスマートエレクトロニクス産業計画推進オフィス(SIPO)などとも連携し、台湾業者との国境を超えたつながりによってソリューションの組み立てや、業者の海外サプライチェーンに参入するチャンスを模索し、台湾産業を世界に広げていきます。

2020年、TJPOはこの連携モデルを基に、オンラインセミナーや商談会を通じて、台湾のスマートマニュファクチャリングチームのソリューションを日本へ推進した際、このワンストップサービスに日本の関係者の方々から大変高い関心を寄せて頂きました。これにより、IoT Service Hubに入っている台湾メーカー昱景科技(NEOVIDEO TECHNOLOGY CORPORATION)と台湾松下電器がNDAを締結、スマートコールドチェーン物流車両用の無線モジュールを共同開発し、実際に製品テストなども行いました。同じくIoT Service Hubに入っている台湾メーカー・奇点無限(SINGULARITY AND INFINITY CO., LTD.)と三菱商事もスマートガス配送システムの提携について協議し、LPGの物流サービスなどを最適化するルート設計システムの導入を通して、台湾スマートマニュファクチャリングチームが在台日系企業のサプライチェーンへの参入を成功させました。

(二)スマートディスプレイ

ディスプレイ産業は台湾政府が推進する重要な産業の一つで、過去一年(2020)の台湾ディスプレイ産業の総生産額は1.1兆台湾ドルに達し、十数万人を超える雇用を創造、台湾経済を支える重要な産業となっています。過去、我が国のディスプレイ産業は激しい国際競争にさらされており(中国が自国のパネルメーカーに補助金を投入し、大量生産で価格を下げさせていた影響もあった)、このため企業は経営上大変苦しい状態で、企業体質を引き続き強化し変革を遂げていくしかありませんでした。

ますます激化する国際競争の中、台湾企業を支援するため、政府はスマートディスプレイ計画を提案しています。具体的な実施方法は、台湾のディスプレイ産業の単一の電子部品販売という従来の考え方からの脱却です。計画の指導や研究開発支援などの政策ツールを通して、ソフトとハードを統合して国際的な潜在力を秘めたディスプレイソリューションの推進を牽引し、サプライチェーンにおける地域を超えた提携関係を促進します。ディスプレイ業界が大海原へ漕ぎ出す港を見つけられるよう、企業に新たな付加価値とビジネスチャンスを創出し、ディスプレイ業界のチャネル探しをサポートしていきます。

スマートリテール、スマート医療、スマートモビリティ、スマート教育&娯楽などの4大主要分野をテストベッドとして選定し、メーカーから提出された革新的なソリューションを現場に導入、検証を行い、成功案件はグローバル展開を加速させ、失敗事例は繰り返し調整してその他の実現可能なものに応用する予定です。この計画は今年(2021)が実行1年目ですが、既に多くのメーカーから素晴らしい提案が多数寄せられており、現在検討中となっています。のちに大きく花開いてくれることを楽しみにしています。

台湾のディスプレイパネル産業は中国の赤いサプライチェーンから深刻な衝撃を受け続け長年低迷していましたが、昨今の新型コロナの影響で、リモートワーク、遠隔授業、非接触環境の需要が高まる中で、パネル産業の運営は順調です。しかし、20年後、30年後、あるいは100年後の変革の動力源になるように、この状況が業界の運営や事業戦略にどのような変化をもたらすのかを考える必要があります。

工業局はメーカー同士がDXの過程を、共に創り出すのを支援したいと考えています。局内の異なるプロジェクトで、リソースの統合やトレンド観測を通じて、自らのビジネスモデルの枠組みから脱却し、異業種との結合、業界連携などの様々な競争戦略を取り入れ、新たなビジネスモデルを再構築していくことによって、台湾はゆっくりと異なる産業チェーンを構築し、第二のTSMCを創出することができると期待しています。世界に台湾を知らしめ、認められ、台湾メーカーのために国際競争の中で簡単には倒されないニッチな競争力を手に入れます。

(三)5G

5Gの開発と応用は今、世界の通信技術開発のトレンドで、台湾はこのトレンドについて、4大テクノロジー産業の強みを備えています。

1. 世界をリードする半導体の先進プロセス技術 

2. 効率的で豊富な製品開発の人材が、台湾や海外企業が迅速にコンセプトを商品に取り入れ量産化することを支援 

3. 各国の現地生産を迅速かつ柔軟に支援できる台湾企業の高度なグローバルネットワーク 

4. 川上・川下産業の様々な不足を埋めることができる柔軟な中小企業 

グローバルサプライチェーンの再構築、白熱する米中対立、オープンネットワーク化の流れの中で、我々の情報通信産業の強みは、台湾を国際的な5G産業の重要な力となるでしょう。産業推進戦略の位置付けとして、5Gは産業発展を守ってくれる堀であり、産業のデジタル変革のための重要な基盤となります。 

1. 5Gは台湾がデジタル時代で経済をさらに成長させるための重要な鍵であり、蔡総統は就任時、今後4年間で5+2の産業イノベーションに基づく「六大核心戦略産業」の構築を強調しました。これには半導体や情報通信の強みを生かし、情報デジタル関連産業の発展を引き続き強化し、台湾を次世代の情報技術の重要な拠点にする、ということも含まれます。

2. 戦略的なビジョンについて、六大核心戦略産業のうち5G産業の発展が今後の政府の最優先課題であり、それを踏まえて我々は全体的なビジョンとして、産業の国際的なサプライチェーンへの参入をどのように支援するかに焦点を当てています。  

3. 重要分野の促進について、国内マーケットで5Gサプライチェーン供給能力を整備して、業界に5G応用の実証の投入をサポートし、国内のネットワーク通信設備企業がこの実証結果を蓄積できるようにします。また、国内企業の海外組織への参加とグローバルサプライチェーンへの参入を積極的に支援し、5Gが国内産業の発展に新たな活力をもたらすことが目標です。 

全体における促進戦略の展開方向について:

1.産業基礎の面では、台湾は豊富な技術と製造能力を持つ完成された5G産業サプライチェーンを持っています。例えば、半導体(穏懋WIN、宏捷科AWSC、TSMC、MediaTek)、キーコンポーネント(台郡FLEXIUM、嘉聯益CareerTec、啟碁WNC)、ネットワーク機器(智邦ACCTON、雲達QCT、緯創wistron)、端末機器(HTC、ASUS、仁寶Compal)というように、世界トップの半導体ファウンドリとPCB生産量から世界をリードするRFモジュールまで世界の5Gサプライチェーンを支える深い基盤を持っています。 

2.産業環境の観点では、サプライチェーンを海外から台湾に回帰し、5Gの垂直の統合のアプリケーションの実証を推進していきます。台湾の5G発展の基礎構築を有利にするため、政府は米中貿易摩擦の影響に対応できるように産業界を支援し、「投資台湾三大方案」を実施しました。自動化、スマート化、5Gテクノロジー製品の生産・運営の強化に重点を置き、既に880社の台湾企業が約1.2223兆台湾ドルを台湾に投資し、台湾における5G発展のチャンスを作り出しています。

3.投資インセンティブでは、税控除などの戦略手段により、国内の5G産業エネルギーの蓄積を支援し、経済部は2019年に5G設備投資控除を含めた産業革新条例修正案の可決を尽力しました。これにより2019年1月1日より企業が5G関連の設備に100万台湾ドル以上投資した場合、業種に限らず控除申請することができるようになり、産業の変革と革新的かつ多様なアプリの迅速な発展を支援し、台湾の5G産業エコシステムの発展を促進しました。(2020年5G設備投資の税控除申請は51社、申請額は51.86億台湾ドル、承認額は49.79億台湾ドル)

4. 5Gアプリケーションの実証推進について、工業局はスポーツ、展示会、工場のスマート化などのテーマで積極的にアプリケーションの垂直の統合実証を引き続き推進して、5Gテクノロジーと応用の産業発展を支援します。5Gサービスを通して産業変革を牽引し、革新的なサービスとソリューションを開発していきます。 

日本のRakutenやNTT DoCoMoなどの通信企業もオープンアーキテクチャを試験的に取り入れ、台湾と日本の産業は協力して5Gオープンネットワークのビジネスチャンスを獲得できるようにします。日台のサプライチェーンを通じて、双方のエネルギーを相互補完し、日本のモバイル通信における高度なシステム統合能力及び、ブランドや国際的なサプライチャネルの経験を組み合わせることで、5Gオープンアーキテクチャにおける日台のサプライチェーンの提携を深めることを期待しています。将来的には、アプリケーションの共同実証などの提携を通して、台湾側からは設備、アプリケーション統合、フィールドなどの5Gアプリケーションプロジェクトに関する経験を共有して提供することができます。   

Q3:感染拡大によって、多くのDXやクラウド技術が急速に進化し情報セキュリティの重要性も高まっています。こちらでは陳副局長に、最近では台湾の情報セキュリティ産業の発展をどのように推進しているのかをお話し頂きたいと思います。

5月からの新型コロナ感染の拡大によって、台湾を警戒レベル3に押し上げただけでなく、企業のテレワークや学校のオンライン授業などが、台湾の中小企業と教育の急速なDX化を後押しし、情報セキュリティはデジタル化して最も重要な要素となりました。

工業局の「地域を超えた情報セキュリティ産業推進計画」では、まず公的機関が組織した情報セキュリティチームを利用し、国産の情報セキュリティ製品を企業向け「DX防疫クイックパック」として迅速に整理し、企業が業務や防疫を行うと同時に情報セキュリティにも気をつけることができるようにしました。例を挙げると、リモートワークの勤怠管理やリモート会議の出欠管理、クラウドオフィスの共同管理やデータのセキュリティ管理、ネットワークセキュリティへのアクセス、特権アカウント管理、リモートでの文書の承認などのサービスです。  

蔡英文総統の二期目就任演説では、今後10年間の経済発展の長期計画が発表されました。特に産業発展戦略では、「六大核心戦略産業」を構築し、台湾を将来のグローバル経済における重要な役割に位置づけることを目指しています。情報セキュリティ産業は六大核心戦略産業の一つに挙げられているだけでなく、更に二つのビジョンを持っています。一つは5G時代、DX、国家安全保障を統合できる情報セキュリティ産業に発展させること。二つ目は効果的に自らを守り、世界からも信頼される情報セキュリティシステムと産業チェーンの構築に全力を注ぐことです。  

過去4年間(2017-2020)を振り返ると、台湾の情報セキュリティ産業は急速に成長しており、年平均成長率が11.9%に達しただけでなく、世界平均の8.9%を上回っています。台湾では、情報セキュリティ産業のスタートアップ企業が急増しており、過去4年間で25社が起業し、大企業が情報セキュリティの新事業を展開するきっかけにもなっています。このため、工業局は国際政治経済情勢と台湾の情報セキュリティ産業発展の強みを考慮し、以下の3つの方向性で台湾の情報セキュリティ産業を推進しています。

(一)産業情報セキュリティ保護と対応メカニズムの推進、産業用情報セキュリティシステムの構築

この1年余りを振り返ってみると、コロナ禍にも関わらずサイバーテロが減らないだけでなく、集団化したランサムウェア攻撃で身代金の額が過去最高となっています。このため工業局は、情報セキュリティソリューションのトライアル案、情報セキュリティ事故の応急キット(バックアップ機能)、情報セキュリティ自己評価ツールを無料提供し、企業に情報セキュリティリスクの正しい評価、真のニーズへの理解と情報セキュリティ意識の向上、情報セキュリティへの投資増加を支援するだけでなく、垂直方向の異なる産業に応じた情報セキュリティソリューションのレベル設計と統合により、情報セキュリティの向上を加速させるように努めています。  

(二)情報通信(ICT)産業における製品情報セキュリティの強化 

台湾はICT産業の重要な供給拠点です。国際社会がサプライチェーンのセキュリティや製品の安全性を重視する中、台湾企業が国際舞台で安全で信頼できるサプライチェーンのパートナーとしての役割を獲得するには、国産の情報通信製品の情報セキュリティを向上させ、国際的なIoT産業の基準に合わせる必要があります。情報通信システムメーカーやブランドメーカーが製品やシステムの安全性を向上させるのを支援することで、市場の信頼度を上げ、製品の安全性強化を推進し、企業がセキュリティリスクの把握・管理や、ブランドの整合性を維持するのをサポートします。

(三)各領域のセキュリティソリューションの構築

台湾が主導して資安即国安(情報セキュリティこそが国家の安全保障)政策を推進して以来、台湾の情報セキュリティ産業は徐々に成長を遂げ、2020年には生産額552億台湾ドル、成長率は11.9%に達しました。台湾には合計340社を超える情報セキュリティ企業があり、そのうち30%が自社での研究開発能力を持っています。次世代のエンドポイント保護、脅威インテリジェンス、レッドチーム演習、多要素認証など特定の情報セキュリティ分野において、優れたパフォーマンスと国際的な情報セキュリティ製品テストでも好成績を獲得しています。しかし、台湾の情報セキュリティ製品は世界的な情報セキュリティメーカーに比べソリューションがやや不完全であったり、知名度が低いという問題点を抱えています。国際輸出の展開や方向性については、工業局が国内の情報セキュリティ企業が情報通信産業において、単一のサービスプラットフォーム、グローバルなイノベーション、ブランドマーケティング、国際的なビジネスチャンスとの連結、という4つの面から、SI或いはICT・医療・半導体・製造など台湾が強い分野での戦略的パートナーを通じて実証事例やフィールドを構築し、国境を超えたソリューションの発展を推進します。

新型コロナ感染症の影響で、2020年2月の米RSA Conference後、世界で唯一リアル会場で開催されている国際情報セキュリティ会議の台湾情報セキュリティ大会は今年5月4日から6日台北南港エキシビジョンセンターで盛大に開催されました。

経済部工業局は情報セキュリティを後ろだてに六大核心戦略産業を発展させる国策を実行するため、このイベントで台湾情報セキュリティ館を設置、スマート交通情報セキュリティ、産業用制御セキュリティ、5G情報セキュリティ、スマートファクトリーの情報セキュリティの4大テーマで構築され、台湾の情報セキュリティの本当の実力をアピールし、国際社会との更なる連携を図り、情報セキュリティマーケットの更なるビジネスチャンスを模索しました。

情報セキュリティ産業の発展を非常に重視している蔡英文総統は、「台湾情報セキュリティ館」を訪れ、メーカーと交流し、情報セキュリティは今や台湾の六大核心産業の一つであり、台湾全体の発展と密接に関連しているのです、と話しました。情報セキュリティこそは国家の安全保障であり、国外からの脅威が高まる中、台湾はより積極的に防衛に取り組まなければなりません。自主的な研究開発の推奨、サプライチェーンの深化、情報セキュリティ技術の向上のほかに、台湾の情報セキュリティ産業の真の力を世界に信頼されるものにしなければなりません。

中でも、5G情報セキュリティエリアでは、5G時代の到来に対応し、高速、低遅延、複数接続によりドローンの用途が多様化しているため、フライトセキュリティや情報セキュリティの問題がクローズアップされていました。今年は、ドローン産業チェーンの安全に焦点を当て、経緯航太GEOSAT(ドローン)、COMPAL(5G Camera機器)、中華電信(5Gネットワーク)、華邦電子(ICデザイン)、尚承科技(チップバーンの安全性)が集結し協力して、台湾のウェーハ、5Gネットワーク機器、情報セキュリティソリューションの導入を展示し、台湾の産業界がどのように協力して国際的に信頼されるセキュリティ産業チェーンを構築しているかが一般の方々にもご覧いただけました。

スマートファクトリー情報セキュリティエリアでは、工業局が2020年から推進している、スマートマニュファクチャリングの情報セキュリティ強化プロジェクトを中心に紹介しました。実証などのオープンフィールドの設置を核心として、スマートマニュファクチャリングと情報セキュリティの結合を通して、台湾独自の情報セキュリティソリューションを発展します。企業や一般市民の方々がスマート工場で情報セキュリティの事故が発生した場合の、「事前、事中、事後」の対応の変化を体験することができ、企業がランサムウェア脅威のリスクを低減するのを協力し、台湾に回帰した台湾企業の生産ラインの情報セキュリティを向上します。

Q4:台湾との協業や連携の窓口について。

2012年の成立以来、TJPOは日台企業の提携推進に尽力し続け、日本での認知度を確立してきました。そのため、多くの日本企業が台湾でのビジネスを拡大したいと考えた時に真っ先にTJPOを思い出していただけるようになりました。

TJPOは日本との産業提携のための単一プラットフォームです。我々は率先して、台湾と日本の中央政府、地方自治体、産業振興団体、企業の二国間交流と連携の架け橋となると同時に、台湾産業の発展のニーズに基づき、我が国が直面する社会問題や世界経済の動向を察知し、共同解決案を主導するとともに、日台の産業提携のニーズを集約、関連部門と横のつながりを強化し、日台の産業提携を共同で推進していきます。これがTJPOがこれまでに確立してきた4大プラットフォームです。 

2020年初頭からのCOVID-19の世界的な感染以来、日台両国の水際対策が厳しくなり一般的なビジネス関連の出張が困難となり、その他様々な物理的な交流もキャンセルや延期、またはオンラインへの切り替えを余儀なくされました。

TJPOは環境制限下で、その状況に合わせて素早く対応し、国内の強化と同時に海外との提携というアプローチを採用しました。6大核心戦略産業を主軸に、在台日系企業を第5プラットフォームとして拡大し、在台日系企業の投資拡大とアップグレード・変革を掘り下げ、訪問などを通じて、ビジネス環境や台湾法人の機能の位置づけにおける変化、及び本社との連絡方法などの仕事内容の変化などのニーズを把握します。日本国内に関しては、オンラインセミナー・商談会やビデオ会議を通じ協力関係を維持し、国内産業の日本側との商談を手配します。

このため感染が拡大している期間、TJPOは新たな「4+1五大プラットフォーム」を利用して、テクノロジーを柔軟に活用し、臨機応変にオンライン/リアル両方の活動を通して日台の産業提携を途切らすことなく推進していきます。

これ以外にも、感染症の蔓延や、米中貿易摩擦などの国際情勢により、産業チェーンの一点集中の問題も浮き彫りとなっています。

台湾は既に完全なICT産業の川上から川下までのサプライチェーンを有しており、日本が生産拠点の調整やバックアップ拠点の設立を行う際に、考慮すべき重要な選択肢になると思います。

このような視点から、将来的にも日台は協力を強化できますし、そうすべきだと思います。ASEANなど第三国に輸出できるソリューションを共同開発し、ASEANやインドなどの新興国の市場経済を把握してビジネスチャンスを広げることで、日台双方が国境を越えたマーケットでWin-Winの協力関係を築くことができるのです。

来年2022年にTJPOは成立10周年を迎えます。TJPOはこの日本への移動が難しい時期でも、在台日系企業の経営を深く掘り下げ、在台日系企業と台湾現地の関係を強化し、プラットフォームとしての機能と役割を引き続き果たしていきたいと思っています。特に台湾の重要な産業分野であるAIoT、5G、スマートディスプレイ、情報セキュリティなどがメインテーマになります。私たちは日本企業との提携を非常に歓迎しています。ご不明な点は、お気軽にTJPOまでお問い合わせください。日本企業と台湾との提携拡大を期待して、Win-Winの関係を築けることを願っています。