ワクチン輸送専用冷凍庫を独自の技術で開発 ニッチ家電企業フル稼働
發布時間 : 2021-02-25

新型コロナウイルスのワクチン接種がまもなく日本で開始します。まずは医療従事者の方、それから65歳以上の高齢者の方に接種する予定です。これ以外の人が接種を受けられる時期は、まだ明らかになっていません。
接種の流れについて、現時点では以下の通り:
1. 市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届きます。
2. 接種対象者がこれをもとに各自で予約します。
3. 予約時間に病院や体育館など、指定された場所で接種を受けます。
接種場所と医療従事者の確保などの課題に加え、ワクチンの配送に関する問題も浮上しています。日本政府はすでに3億回分以上のワクチンを契約しているが、アメリカ・ファイザー(Pfizer)とモデルナ(Moderna)社の、マイナス70度といった超低温で保存しなければならないワクチンも含まれています。ワクチン接種後の医療廃棄物の処理も、万全な感染対策が求められます。
ワクチン輸送専用冷凍庫 緊急増産
ツインバード工業は靴専用乾燥機、酒燗器(日本酒を温める業務用の調理機器)など、大手が生産しないニッチ商品を専門とする家電メーカーです。およそ300種類の製品を作っている同社は、最近ワクチン輸送専用冷凍庫を開発し、話題となりました。10度からマイナス40度まで1度刻みで温度を調節できるため、マイナス20度での保管が必要なモデルナ社のワクチン輸送に採用されました。
冷凍庫は16キロ、女性でも持ち運べる重さです。省電力で稼働する点と、車のシガーソケットからも電源が取れる点も、この商品の特徴です。それを実現させたのが、独自で開発した冷凍エンジンです。コンプレッサーを使用した通常の冷凍庫とは違い、ツインバードでは天然ヘリウムガスを利用した、自社開発の冷凍技術を製品に取り入れました。エンジンの中にある2つのピストンが、1秒間に80回の頻度で動きます。ヘリウムガスを膨張させると同時に、温度も下がっていく仕組みで、3分以内にマイナス100度まで冷却することができます。この技術は振動にも強く、軽いという利点があり、国際宇宙ステーション内の日本の実験棟「きぼう」の実験室でも採用されています。
現在、ツインバード工業の新潟本社では、ワクチン輸送専用冷凍庫を緊急増産中です。受注量の増加に対応するため、クリーンルームのエリアを増設しました。従来の生産能力は年間4000台だが、今は近い将来に3ヶ月で1万台の目標を達成する見込みです。同社はモデルナワクチンを担当する武田薬品と5000台を正式契約し、さらに今後の需要増加を見越し、合わせて1万台の増産を決定しました。
ツインバード工業野水重明社長は「モデルナワクチンの接種予定日を想定して納品予定日を2月と、短納期の中で急ピッチで生産を進めております」「社内の製造部の人員だけではとても足りませんので、この新潟県燕三条地域中心にですね、ご協力企業の皆様からのご協力をいただいて、人員もほぼ2倍に増員させていただきました。ワクチン運搬のコールドチェーンのスタンダード技術となれるよう、事業を進めてまいりたいと思います」と話します。
感染性廃棄物用の容器も需要増
ワクチン接種後、注射器などの感染性廃棄物の処理も見逃せません。医療廃棄物には様々な種類があります。一般的に、患者の血液、体液、排液、排泄物などが付着している医療器材や材料は感染性廃棄物に分類され、処分の際に専用容器に入れる必要があります。
そこで、天昇電気工業が感染性医療廃棄物容器「ミッペール」を開発しました。一見普通のプラスティック製の箱に見えるが、蓋の爪の部分が特殊な構造となっているため、一度閉めると二度と開けられません。落下にも強く、廃棄物はそのまま容器ごとに焼却処分できます。
コロナ禍による需要増に伴い、天昇電気工業は昨年の9月に「ミッペール」の製造工場を増設しました。昨年の夏ごろから大幅に増えている発注に対応するため、生産能力をこれまでの1.8倍に増強したといいます。
天昇電気工業の担当者は「感染性廃棄物容器の需要も増えていくと思いますので、それに向けまして生産ですとか、販売の体制強化を現在準備をしているところになります」と話しています。
参考資料:独自技術でワクチン冷凍庫を開発 ニッチ家電企業がフル稼働(テレ東NEWS)