AI投資の蜃気楼を解明-台湾AIスタートアップ・エコシステム図を10分間で掌握(2)
發布時間 : 2021-06-21

ライター:歐雨瑞(資策会/サービスイノベーション研究所  チーム長)
轉載自FIDIT
三、資本の変化・トレンドとクラウドファンディングの実情
AIスタートアップの概観以外に、IDEAS Labはトレンドを把握するため、スタートアップの資本規模の変化およびクラウドファンディングの動態についても追跡を進めています。過去2年の資本金の変化状況を観察すると、2019年には44社が増資、2社が減資し、増資のトップ5の会社の中で4社がスマートデバイス関連の企業です。また5社以外の企業との間に明確な差異が存在します。
そして今年は9月までに55社が増資し、すでに昨年を大幅に上回る数で、分野にも明確な変化が現れています。増資のトップ5のうち2社は医療・健康、2社はマーケティング・販売、1社はリーガルテックの企業です。トップ10では医療・健康分野に属する企業は7社に達し、トレンドが昨年とまったく異なります。新型コロナ流行がもたらす新たなチャンスを前向きに捉え、そして我が国の医療・健康分野でのスタートアップの分布に成功したこと、どちらもこの分野のスタートアップが続々と規模を拡大している要因だと考えられます。
図2-8  過去2年の減資状況
圖2-8 過去2年の減資状況
過去2年の増資企業の各分野での分布について分析を進めると、医療・健康の増資件数がハードウェアを抜いて1位になったほか、マーケティング/販売/顧客管理、製造の2大応用分野も多くの企業が資本規模を拡大しています。
図2-9  過去2年の減資企業の分野の分布
図2-9 過去2年の減資企業の分野の分布
遅行指標となる資本金の変化以外に、クラウドファンディングの実際の動態も参考になります。このリサーチでスキャニングを行った218社のスタートアップ企業の中で、現在公開クラウドファンディングで成功を記録した企業は合わせて58社、26.6%を占めます。さらに累積クラウドファンディング金額の差で区別すると、1,000~5,000万の企業が最多です。しかし注目すべきは10億以上のスタートアップも6社と多く、AI分野の集金力が再び明らかになっています。
図2-10  クラウドファンディング金額の分布
図2-10 クラウドファンディング金額の分布
各分野の分布からみると、累計調達額トップ3の分野は「マーケティング関連分野」、「ロボット」、「AI応用によるハードウェアの支援」になります。しかし各分野のスタートアップの数に落差がある点を考慮し、それぞれのスタートアップの平均金額からみると、トップ3は「AI応用によるハードウェアの支援」、「ロボット」、「ビジネス」等の分野に分けられます。
図2-11  分野ごとのクラウドファンディング金額の累計および平均
図2-11 分野ごとのクラウドファンディング金額の累計および平均
前述の分野でクラウドファンディング調達額が際立つ原因の一つは、応用分野の成熟度が関係しています。発展期間が長いほど分業がより細かく明確になり、調達できるスタートアップの数も多いです。例えば、マーケティング/販売/顧客管理は10社、医療・健康は9社、フィンテックと保険は5社が資金調達に成功しています。さらにシードからシリーズA以降まですべてのラウンドが含まれます。もう一つの原因として、該当の分野内で特に話題性のあるスタートアップは大型資金調達で分野全体の注目度を引き上げています。例えばロボット分野の竹間智能、AI応用によるハードウェアの支援のKneron、そしてマーケティング分野で話題を先導し続けるAppier、iKala等の企業です。その他、観察できる点として、クラウドファンディング累積金額のトップ5の企業はすべて海外拠点があり、国際市場参入の有無が資金調達額に与える影響力が再び明らかになっています。
図2-12  各応用分野でクラウドファンディングに成功した企業のリスト
図2-12 各応用分野でクラウドファンディングに成功した企業のリスト
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