台湾におけるCOVID-19の国内感染が、 スマート医療の新しい推進力に―下
發布時間 : 2021-11-02

スマート医療の変革に向けた課題

エピデミックという緊急事態の中、世界各国は医療システムにおけるスマート革命の加速を余儀なくされ、台湾も同じ状況に直面しています。ただし、ここには3つの大きな課題があります。

まず、緊急承認された医療製品は、FDAの審査を通過したとはいえ、リスク等の点を考慮すると、この段階で利益を上げることは難しいかもしれません。台湾開発のコロナ肺炎画像診断支援システムは緊急使用許可を得て重要な指標となったが、台湾大学病院スマート医療センター(Center of Intelligent Healthcare)のデータによると、現在、AI解析の精度は約80%であり、抗原簡易検査キットの精度と殆ど変わりません。また、使用する場合や使い方が限られています。特にCOVID-19は、いくつかの種類の肺炎に似た特徴を持っているため、誤診が少なくありません。これに対し、国内の一部の医学放射線会は、最前線における診断での単独使用を推奨しないと評価しました。診断の加速と精度向上には疫学調査、病原体検査、核酸検査、臨床症状、実験室での検査結果などと合わせて判断する必要があります。コロナ収束後も国際市場で受け入れられるかどうかは、規模を拡大して検証しなければなりません。

2つ目は、我が国の遠隔医療を取り巻く環境がまだ整っていないことです。患者はビデオ通話や電話を通じて診察を受け、医師に処方箋を書いてもらうことができますが、最終的には健康保険証の提示、料金の支払い、処方箋の発行など、本人または家族が医療機関へ行ってこれらの手続きを済む必要があります。遠隔化したのはあくまで相談の段階であり、より万全な体制を確立するのが今後の課題です。また、誤診・情報不足や薬・処方箋などの遠隔診察に関する問題点も浮き彫りなります。新しいプロセス・ガイドラインでは医師の法的権利を保証し、責任範囲とトリアージの基準明確化も不可欠です。そして、さまざまな遠隔医療の実践やソリューションを提供することで感染拡大を防止し、将来AI医療機器をサポートシステムとして臨床現場へ導入する可能性も検討しなければなりません。

最後に、コロナ危機におけるビジネスモデルの転換が、永続的な変化であるかどうかは引き続き追跡する価値があります。果たしてコロナ禍が収束しても、一般市民は遠隔医療を利用し続けるのか。特に台湾のような病院が多い所では、みんなが元の習慣に戻ってしまうかもしれません。もしくは、我々はこの機に乗じて革新的なヘルスケアシステムを構築し、ニッチ市場に潜む新しいビジネスチャンスを見極めるべきではないかと思います。例えば、医師-医療従事者間のD to D(Doctor to Doctor)/D to N(Doctor to Nurse)/D to P with D(Doctor to Patient with Doctor)/D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)等の遠隔医療システムの開発、「亜健康(Sub-health)」患者層の発覚、華僑や海外の台湾人駐在員利用者の新規開拓を推進することなど、既存および新規患者を安心・安全な治療サービスに誘致することなどで、継続的イノベーションを支えるために十分な市場規模を作り出します。

コロナ禍におけるスマート医療の変革について、世界の医療業界と立法当局もまだまだ模索中です。このようなトレンドは発展の機会であり、複雑な課題でもあります。従って、関連資格認定制度や実施規範など実験のリスクとコストを低減するための、より管理しやすい仕組みを確立してしかるべきです。また、実行可能な方法を見つけ出した後は、引き続き政府によるフォローアップを受けます。そして、既存のエコシステムと統合し、医療産業の健全な発展を図ります。(完)

出所:COVID-19本土疫情 形成智慧醫療發展新推力