台湾経済部(MOEA・経産省に相当)の指導のもと、2012年に「台日産業連携推進オフィス(TJPO)」が設立され、台湾日本関係協会と日本台湾交流協会の枠組みで「日台産業協力架け橋プロジェクト協力強化に関する覚書」に署名し、日台共同で産業連携の強化に尽力してきました。
TJPOは、これまで覚書に基づいて日台双方の産業協力を推進することを目的として、日台の産業動向や協力のニーズに合わせて戦略を練っています。台湾の核心的技術動向や政府の方針に沿ったテーマを取り上げ、「台日産業連携架け橋フォーラム」の開催を行っております。今年度は電気自動車(EV)や先端カーエレクトロニクスに焦点を当て、8月31日に東京で開催されました。台湾のEV技術や先端カーエレクトロニクス技術を紹介するだけでなく、日本のEVキープレーヤーを招待し、日台連携に関する新たなビジネスについて共有します。
フォーラムの開会挨拶には、王美花経済部長(経産省大臣に相当)が登壇し、スマート・EVを発展させるとともに車載チップ及びAI技術に関連する応用が注目され、各国は積極的に取り組んでいると述べました。台湾はICTや半導体生産の主要なハブになったことと同様の観点から、台湾のティア1クラスのEVサプライヤーを生み出すことができるよう、業界のサポートに注力しており、日本の自動車エコシステムに繋ぎ、台湾をEV関連製品の世界的なサプライヤーにしていく考えだと語りました。また、日本台湾交流協会の花木出専務理事はEVについても、電機産業において分厚い基盤のある台湾は日本企業にとってまたとない連携相手となっていくものと期待していると述べました。
加えて、2022年にTSMCはソニーグループやデンソーと熊本県に工場を建設する予定であり、日台企業連合で半導体需要の高い自動車産業の協力を取り付け、経済安全保障にもつながるサプライチェーン強靱化が期待されます。TJPOは熊本県とさらに多様的な分野での連携を強化するために、双方が産業協力MOUを締結することで合意し、開会挨拶後、調印式が行われました。調印式ではTJPOの呂正欽執行長と熊本県商工労働部の三輪孝之部長がそれぞれ署名を行い、経済部の王美花部長と熊本県の木村敬副知事が見届け人として立ち会いました。これはTJPOにとって10自治体目となるもので、今後、双方はお互いのネットワークを通じて、商談会、セミナー、人材関連の取り組みなどの活動により、半導体やモバイルITなどの先端テクノロジー分野でのビジネスが活発となることを推進していきます。
この度のフォーラムのメインテーマに則り、講演ではTJPOの陳龍課長が台湾ICT産業の強みや半導体産業の日台産業連携チャンス及びビジョンの説明を行い、財団法人車輛研究測試センター(ARTC)王正健・総経理が台湾におけるEV展開のビジネスチャンスを説明しながら、EVや自動運転といった新たな分野に台湾業者の技術力に関して語りました。また、義隆電子(ELAN Microelectronics)葉宗穎社長付は自社のマルチカメラによる人物認識技術、AIをベースにしたインテリジェント交通システム、先進運転システムであるADASに至るまで幅広いトータルソリューションを紹介しました。
また日本側として車載エレクトロニクス実装研究所三宅敏広・代表を講師に招聘し、自動車業界でCASEに向けた自動車・カーエレクトロニクスの動向のみならず、実装技術における課題についても述べました。最後に、株式会社ZMP西村明浩・取締役が自社の次世代自動運転技術開発の取り組みにつき講演しました。

経済部王大臣挨拶

TJPOと熊本県MOU締結の記念撮影